×悠樹×
奈美が倒れた時は驚いた。体が勝手に動いた。
心の中では奈美と呼び捨てにしていても、実際に呼び捨てにしたことなどなかったのだから。
滑り込み、ギリギリ間に合った。
ふくらはぎや、太もも辺りを擦りむいたみたいだが、痛みより奈美を抱えていることや奈美の安否で一杯だった。
その後、普通に接したと思うが、上手く話せたのか…でも、奈美が無事で良かった。女子に…特に奈美に怪我なんかさせたくない。
しかし、いつでも奈美は優しい。
自分より俺の心配をしてくれた。
嬉しい反面、自分のことを心配して欲しかった。
出発の会の最中に奈美が自分の左足首を撫でていた。
やはり挫いていた。
無理をして欲しくなかったのに、俺らに気を使って…
出発の会が終わった時、案の定立てなかった。
左手を差し出したが、完全に座っているので力も入らないはずだ。
俺は、恥ずかしいし、奈美に悪いし色々考えてしまったが、今は…無理をして欲しくなかったから奈美を抱き抱えた。
女子にこんなことしたことなかった。
しかも…好きな人に。
胸がモヤモヤしたし、鼓動も速くなっている。
奈美に、触れてしまった。
自分が保てなくなる前に、バスに乗り込んだ。

