「小堺さんも良かったよ!」

「おう、パスもちゃんときたし。」

2人にそう言われて嬉しくなった。

「ありがとっ!」

最後にしようと言いながら、冬馬がボールを蹴り始めた。

私と悠樹も広がった。

「よし、じゃ、始めるぞ!」


冬馬がそう声をかけ、走り出した。



「委員長!!パス!!」


冬馬は私にパスを回してきた。

「おっけ!」


そのボールを悠樹にパスできるくらいの距離まで持っていこうと走り出した時だ。


私は、誤ってボールを踏んでしまった。


足首に、ちょっとした衝撃がはしった。


ボールを踏まなかった足で、体勢を立て直そうとしたが、場所が悪く、私の体は徐々に地面に近づいていた。


「奈美!!」


目を開けると、悠樹が私を見ていた。


どこも痛くない。強いて言えば、足首くらい。

「悠樹君…」

状況を確認すると、私は、悠樹の足の上に倒れていた。
悠樹に頭を抱えられ、上半身は悠樹の右足に。下半身は左足の上に乗っていた。


「私…あっ!!ごめん!!ありがと!!」


そう言いながら、慌てて悠樹から離れた。

咄嗟のことでなんて言っていいかわからなかったが、悠樹が優しく微笑みかけてくれたので率直に思ったことを言えた。

「俺はいいけど、小堺さん、どっか痛いとことかない?」


「私は大丈夫!!頑丈だし!!それより、悠樹君こそ大丈夫!?私重いのに…足とか怪我したら…」


何故かわからないが、泣きそうになった。私のせいで怪我をしてしまっていたら…毎日朝練をして頑張っていたのに…とか色々考えると、心が痛くなった。

「俺も、丈夫だからさ。そんなことでどこも怪我しないよ。…でも、小堺さんが泣いたら、俺も辛いから泣かないでよ。ね?」


悠樹の笑顔にいつも救われる。


きっとまた赤くなっているだろう。


「2人とも無事なら良かった。委員長、しっかりしてくださいよ。いつまでも座ってないで…そろそろ集合時間だって。」

冬馬の言葉で、我に返った。

「あ、ほんとだ!!悠樹君ありがと…」

「いいって。ほら、行こっ!」

私達は、ボールを片付け、集合場所へ向かった。