「いっけねぇ、セーフっっっ」


 時計が8時の30分を回る。私は教室へ間に合った。 電車一本で二つ目の駅に学校がある。 普通ならば自転車通学をするだろう。私も母にそう言われた。

 だけども私は極力体力を使いたくない。この際言い訳はしない、めんどうなのだ。


 「何がセーフよ、余裕で間に合ってないわよ」

 親友の亜美は自慢のツインテールを揺らしてそう告げる。知っている30分を回ってる事くらい。


 「先生が居ないからセーフじゃーん」

 「あんた、本当に運がいいんだから」

 亜美とは幼なじみで幼稚園から一緒だった。小学校中学校と一緒であったが中学二年の冬に彼女は転校した。
 私がこの学園へ来た理由は彼女とこの学校へ行くと決めたから。


 必死に猛勉強をし、晴れて彼女と同じ舞台へ立ったのだ。

 「ほら、席に着かなきゃ先生来るよ」

 「わかってるって。亜美、そのバックについてるマスコットは?」

 「ぷぎゃおって言うんだよ、かわいいでしょ」

 「そ、そ、そうかな…」


 ぶっちゃけ言って亜美の【かわいい】はわからない。めっさ、ぶっさいくやんけ。ぷぎゃお。ぷぎゃおってなんやねん