「だっ、たらよ」
狭間は私の涙にも呉ずに近づいて。それも真剣な眼差しを向けて近づいて来る彼に私は思わず一歩、一歩と後退して。
壁の感覚が背中に感じる。近づいてくる狭間の顔に私は睨まれたカエルのように動けなくて。
これからどうなるだろう?心臓が鳴る。こんなに大きく心臓が鳴るなんて。
私の顔の横に手の平を添えらればドアの叩かれた音が耳元へ力強く響く。その音がいつまでも鳴り止まず、未だ鳴り止まないのは私の幻聴だからだろうか。この気恥ずかしい雰囲気、この緊張感。
考え込めなくて、考え出せなくて。
きっとこれが動揺。きっとこれがドキドキ。心臓の鳴り。
そんな私を未だ睨んだまま彼はじっと見つめてきて。その距離は近くて。
「おれの、やりたいことが、見つかるまで、おれの女になってよ」
--------------え?
