一ノ瀬さん家の家庭事情。

「愛の父親と母親は、暁と唯ちゃんだ。」

お父さんにそう言われた瞬間、何かが胸の奥にストンと落ちた。

本当なんだ…

少しだけ、期待してたのかな。

本当は、こんなのうそで、悪い夢で。

「二人はまだ二十歳同士で、幸の両親はあまり結婚にいい顔していなかった。何しろ、二人とも大学生だったからな。」

そうだったんだ…

大学生なんて、まだ遊びたい盛りの時。

「でも、暁も唯もせっかくお腹に来てくれた、大切な大切な宝物だからって、絶対産むんだって言って聞かなかった。」

大切な、宝物…

あたしのこと、そんなに思ってくれてたの。

「その頃ちょうど幸も四人目、玲の妊娠がわかって。出産予定日も近かったこともあったし、同じ病院に入院してたんだ。」

お父さんは懐かしそうな目で母子手帳をパラパラとめくった。

「生まれた日も同じだった。あの日は寒くて、雪が降っていたんだ。俺と暁は二人でずっと玲と愛が生まれてくるのを待ってたんだ。」