一ノ瀬さん家の家庭事情。

あたしにも変わらない、明るくて優しい笑顔を向けてくれる。

信じられないよ、この人があたしの本当のお父さんじゃないなんて。

15年間、育ててきてくれた人。

「まあとりあえず席につこうよ。真と優からのお土産もあるし。」

りっちゃんがそう言うと、みんなは椅子に座った。

修学旅行のお土産を開けて、楽しそうに明るく話すみんな。

今しか、ない。

あたしは隣の席に座っている玲を見た。

玲は机の下であたしの手をぎゅっと握った。

そしてその手が離されたと同時に、玲が口を開いた。

「父さんに聞きたいことがあるんだけど。」

ついに、言っちゃうんだ…

「…俺達のこと。ちゃんと真実が知りたいんだ。教えて。」

そう言うと玲は机の上に、二冊の母子手帳を静かに置いた。

「なんだよ、これ。」

真兄は怪訝そうな顔で玲を見た。

優兄は黙ったまま、その二つの手帳を見つめてる。

「…そうか、そろそろ話す時期だったのか。」