一ノ瀬さん家の家庭事情。

背後から聞こえてきたのは優しくて、落ち着いていた声。

ゆっくりと振り返ると、そこには品のいい優しそうな男の人が立っていた。

まさか、この人が…

「はじめまして、ではないけどこんにちは。暁の父の神崎誠司です。」

「こ、こんにちは!一ノ瀬愛です!」

この人が、あたしのおじいちゃん。

「あれ、父さんここにいたの?」

「ごめんごめん、ちょっと庭に出ててね。」

先生が玄関から帰ってきて少しだけ安心。

「じゃあ入って。」

通されたリビングはこざっぱりしていてものがあまりない。

「寒かっただろ?こたつに入って。」

こたつ周りもスッキリしてて、本当にうちとは…

ってあたし、なんでこんなに家と比べてんの?

違うのは当たり前じゃない。

だってここには、この人一人しか住んでいないんだから。

そう、こんな広い部屋で一人で、毎日ご飯食べてるんだ。

「ケーキは嫌い?」

「いえ!大好きです!」