一ノ瀬さん家の家庭事情。

「暁、君…」

間違いない、写真の中の男の人派無邪気な笑顔でこちらにピースサインを送ってる。

見間違えるはずない。

だってこの写真は、毎日見てるから。

…うちの、仏壇で。

「そう、俺の八つ上の兄貴。神崎暁。」

神崎…

そうだ、神崎って苗字、どこかで聞いたことがあるって思ってたら、暁君の苗字だったんだ。

そして先生は暁君の弟?

「君は俺の姪にあたる。…一ノ瀬愛ちゃん。」

先生があたしの、伯父さんってこと?

あまりの出来事に頭がついていかない。

こんな偶然、あるの?

「十六年前、俺は中学生だった。一人暮らししてた兄貴が突然彼女、君のお母さんを連れて実家に帰ってきて。子供ができたから生むって、大学もやめて働くって言って。」

唯ちゃんのことだよね。

あたしができたとき、二人はまだ二十歳だって言ってた。

たしか唯ちゃんは専門学生で暁君と同じバイト先で働いていて、そこで出会ったって。