一ノ瀬さん家の家庭事情。

あたしは笑顔を作った。

「うん、わかった!」

本当に、バカ。

ここでも勇気が出せない。

だってやっぱり怖いから。

振られて、気まずくなっちゃうのが。

そんなリスク、みんな背負ってて、それをわかって思いを伝えに行くのにね。

逃げてばかりのあたしは、弱くて、馬鹿でアホ。

クラスのパーティーが始まって二時間。

そろそろ時計は八時を指す。

「一ノ瀬!あのさ…」

なるべく浅丘君と顔をあわせないようにトイレばかり行き来していたあたしだったけど、ドアの前でばったりあってしまった。

…言わなきゃ。

逃げてた自分が行けないの。

負けちゃったんだよ。

「そろそろ行く?たしかイルミネーション、九時半までだったよな?」

ごめんね、ほのちゃん。

ごめんね、浅丘君。

「あの、ごめんなさい!あたし、用事思い出しちゃって…帰らなくちゃいけなくなったの。本当にごめんなさい!」

恐くて彼の顔が見れなかった。