うー、でも緊張する!

よし、落ち着いて、深呼吸!

「いっ、一ノ瀬…」

「一ノ瀬愛、俺の妹!…てめえ等、手出したら、わかってるよな?」

は!?

あたしの声に見事にかぶせてきたのは、だるそうさっきまでボールを触っていた真兄。

「へえ、真の妹なのか!通りで可愛いわけだ!」

「真先輩の妹!?…そりゃあ手、出せねえな…」

なんか、周りの人が若干あたしを避けてるのは気のせい?

「愛、ドンマイ。部内恋愛は禁止みたいだね!」

もう!

なんでこうもして、あたしの希望を全部なくしていくの!?

せっかくバスケ部に入ったんだから、少しくらい憧れたりしたっていいじゃない!

「愛も、わかってんだろうな。」

真兄は爽やかなどす黒い笑顔をあたしに向ける。

笑ってるのに、怖いよ!!

昔からそう、この笑顔には裏があった。

何回この笑顔に騙されて、ひどい目にあってきたか。

「わかりましたよ!」

一ノ瀬愛、部活でも呪縛からは解き離れそうにありません。