りっちゃんに失恋した、なんて言えない!

だってそもそも好きな人がいるってことさえばれたらまずいんだから!

「な、なんでも!」

「今日はみんな遅くなるらしいから、先にご飯食べてよう。愛の好きなグラタンだから、冷めないうちに。」

グラタン…

正直食欲なんてない。

でもせっかく作って待っててくれたりっちゃん。

あたしは重い足をリビングに向けた。

「さ、食べよ。」

グラタンの他にも、サラダ、スープ。

「なあ、愛。辛いことがあったら全部言えよ、とは言わない。でも俺は愛の家族だから。だから言いたくなったら言えばいい。泣きたくなったら、泣けばいい。」

珍しく真剣なりっちゃんの顔。

驚いた。

りっちゃんがそんなふうに言うのは初めてだったから。

いつもあたしのこと、まだまだ子供だって扱いして、悩みがあるときだって「お兄ちゃんに話してみろ!」の一点張りだったのに。

「今までごめんな、愛ももう高校生だもんな。」