一ノ瀬さん家の家庭事情。

どうしてそんな苦しそうな顔をするの?

中学時代の二人に、何があったの?

「…ごめん、引き留めて。約束、してんだろ。…あいつ、待ってると思うからあとは俺はやっとく。」

そう言うと、背中を向けて作業の続きを始めた。

時計は午後六時半。

約束の時間は六時四十五分に中庭にある時計台の前。

だけど、だけど…

「い、一ノ瀬?」

このままつらそうな久住君をほうってはいけないよ。

おせっかいかもしれないけど、迷惑かもしれないけど、同じクラスメイトとして、一緒に文化祭実行委員をやってきた一人として、そしてバスケ部員として。

見た目は怖いけど、本当はすごく優しい人だってこと、あたしはわかってるから。

ただ、不器用なだけの久住君。

浅丘君、ごめんなさい…

「…あたしはここにいるよ。…だから、言いたいこととか、ぶつけたいこと、言って。言いたくなかったら何も言わなくてもいい。でもあたしは、ここにいるね。」