「クラウン」
そういってホセは私を抱きしめる。
「好きだ」
強く、もっと強く。
「好き」
何度も、何度も。
そうでもしないと、崩れるような笑顔で。
「好き。好き。好き…」
さらさら川のように流れる涙はこんこんとわいて、零れ落ちて私の服を濡らしていった。
「好き」
ホセ。
狂ったように好きを繰り返すホセをそっとくすぐる。
身をよじって、くすぐったい、と笑うホセに私の方からキスした。
その感覚に浸っているかのようにホセは目を閉じ、そして目を開きうっとりと私を見つめた。
切ないくらいにニコ、と笑ったホセ。
「大好き」
止まることなく涙は溢れる。
「どうか慈悲を、慈愛を…俺に与えて…」
神頼みのような儚く、わずかな願い。
ねぇホセは、私が慈悲で、同情でホセと一緒にいると思ってるの?
そんなわけないでしょ?
ホセが好きで、ずっと一緒にいたくて。
だからこそ一緒にいるんだから。
「…」
ホセは何も言わずに私から離れてソファにうずくまった。
ホセ、と声をかけると昼寝だ、と言ってホセは自分に足かせをつけた。
靴でも履くみたいに。
手枷も付けた。
手袋をはめるみたいに。
一人きりで小さく丸まって、子猫のように震えながらホセは眠りに落ちたようだった。
ホセ。
ホセの手枷や足かせは重くて冷たい。
私はそっとベッドを降りると、ソファに近寄ってホセを眺めた。
寝顔はあどけなく、涙で濡れていた。
もう、とため息をついて私はホセを抱え上げようとする。
やっぱり、すっごく軽い。
空っぽみたいに。
私の寝ていた柔らかなベッドにホセを寝かせると、ホセの言う昼寝に、私も落ちた。

