「クラウン、お前にとって俺は宿命の相手だ」
運命じゃなくて、“宿命”の。
「“死”と同等以上に俺たちは宿命づけられている。すべて必然だった」
__この気持ちすら決められたものだとしたら、お前は俺を見限るか…?
揺れるホセの瞳の中に不安が見て取れた。
「正式に最高神の位を引き継いでからになるから話は数十年先だが、俺たちが“死”を迎えるのは少なくとも五千万年に一度だ…」
“死”を宿命づけられない神になれとホセは言ってる。
私はホセを傷つけないように瞳を閉じた。
憎むわ、“宿命”“運命”“必然”。
そんなものに囚われて一生を終えるのは嫌だから、私はあなたに恋をした。
常識ではありえない最高神と吸血鬼の恋人。
身分差もここまで来るといいところ…
でもそれは“運命”を変えるという“宿命”だったのかもしれない。
だとしたら、私はこの気持ちにさえ背を向けるの?
「好きだ、だからこそお前に言っている」
最後かもしれないクラウンのぬくもりを感じようとホセはきつく華奢な体を包み込んだ。
「俺を殺すよう、精霊に頼め」
偽りではないことを伝えようと正面からクラウンを見つめ、ホセは微笑んだ。
「俺は逃げない。楽しかった。お前と過ごした時間は、何にも代えがたい」
涙をぬぐってくれなんて、ホセは一言もいわなかった。
ましてや死にたくないなんて、心配になるくらい伝えなかった。

