パーフェクトフィアンセ


「来い」

あの…ホセ?

不安げに声をかけた私の肩をホセは黙って抱いてホセの部屋へと連れていかれる。

端正な顔には痛々しいほどくっきりと隈ができて、目は充血している。

怯えるしかなくなった私は、とりあえず怖い、と訴えてみた。

「! 悪い…何もしないから安心しろ。話したいことがあるだけだ」

うん、と返事をするとホセはしっかりとドアを閉めてガチャリと鍵をかけた。

「すまない、人払いのためだ」

障壁魔法までかけられてしまって謝られて、一体どうすればいいのか。

私が困っていると、ホセは私の正面から肩を押した。

きゃぁ、と可愛いと思える悲鳴を上げたところで私はあっけなく後ろのソファに倒れ込み、ほぼ同時にホセが隣に座って私を引き寄せた。

「クラウン、この話をしてお前が逃げ出す可能性も考慮していないわけじゃないが、できれば寝室に監禁なんてことはしたくない。俺を嫌うことは構わないが、とりあえず聞いてくれ」

逃げ出そうとしたら寝室に監禁するの!?

という疑問を押し殺し、私はこくこくと頷く。

だってそれしかないでしょ?

うん。

いくら不穏な感じとはいえ、ホセの綺麗すぎる顔がすぐそばにあるんだから。

「お前は、創造神様のことは知っているな?」

創造神。

ルスタミアス・コールを創った神。

知ってる、当たり前でしょ?

「簡単に言う。俺たちは選ばれた“王族”だ。いや、正確には運命づけられて生まれた“後継者”だ」

いきなりぶっ飛んだなー、と思っていると、ホセが矢継ぎ早にしゃべり始めた。

「俺とお前は対になっている。二人で完全体だ。わかるか?俺はどちらかというと“通常能力”を持っている。記憶力、再現能力、魔力など先天的後天的問わず通常の人間が持つことのできる能力だ。対のお前は“超能力”。特に相手の考えていることや心理、欲求、運命から末路なんかを知ることができる“真実の目”を持っている」

そういえば確かに誰かと視線を合わせると相手の考えとか記憶とかが見えることがあった。

そっか、ホセが天才なのはそうだからなんだね…。

「俺たちは二人で一つだ。わかってくれ」

うん、わかったよ?

いちばん混乱してるのホセだよ?

いっつもクールビューティーを決め込んでいるホセがこんなに慌ててるのって新鮮。

「ほかにも俺とお前は色々対になってるんだ。身分とか、性別とか、兄弟とか…」

そうか、私はお兄ちゃんいたけど、ホセはお兄ちゃんだからね。

変なところで納得していると、ホセが急に私を抱きしめた。

「俺たちは絶対に死なない。少なくともこの現実に起こる出来事では…だが」

なんだか私だけ上滑りしているような気がする。

ホセは苦しそうに私をしっかり抱きしめ、囁くように話し出した。

「この“今”生きている奴以外にはそれが保証されない。だから、こっちへきた過去の産物にはこの法則じゃ対抗できない。つまりそいつにかかればお前が死ぬ。俺はその夢ばかり見る」

待って、やっぱりホセから抜けおちてるけど、それでいくとホセも死ぬよ?

何で私が狙われること決定!?

「何を言う。お前のほうがかわいいし、殺したら俺に与えられる精神ダメージは百倍だ」

私のほうが弱いからって素直にいえばいいのに。

「お前は強い。最高神の宇宙系統夢術は空間を操るだろう。俺は主に魔力がないと困る。俺は炎だからな」

…そっか、私って強いんだね。

気が付かなかった、と私はため息をついた。