パーフェクトフィアンセ


「…」

無言で歩くホセは心なしか速いと思う。

ただでさえ足長いのに速足で歩かれるなんてもう…

待って、といえばはっとしたようにホセが止まった。

「悪い…ちょっとイライラして」

バツが悪そうに振り返るホセを見て、やっぱり変わり過ぎだなって。

明らかに付き合う前と態度が違う。

「手」

え、なに手。って。

「つないじゃ不都合か。それならお前に合わせられる」

天然のタラシっていうのは貴方のことだと思う。

そんなこと言わないけど。


捕まれた手は案外優しく扱われて、なのにぐいぐい引かれる。

これは絶対わざとでしょ?

って。

「悪い」

あくびれもせずそれでもゆっくり歩いてくれた。

それでも足速い。

長い。

美脚ってうらやましいね。

うん。

モデル以上にモデル体型なホセは絶対ファッション誌なんかに乗らないだろうなって。

そんなことしたら世界中の紙がなくなりそう。

それは言い過ぎかな?

でも自由競争なんて絶対なくなる。

罪な人だね。

なんかいろいろ。


「何ぶつぶつ言ってるんだ。着いたんだが」

貴方の容貌が悪いの。

私は何にも悪くないわ。

「は…?」

ごめん、こっちのはなし。

「…変な奴」

イケメンが悪いにきまってる。

ね?私は悪くないでしょ?

見惚れさせるホセが悪いの。