「で、タイムスリップってのはどういう感じで起こるんだ?」
「時空の歪みが何度かになったときにおこる自然現象です。異次元世界の観念にのっとって言われることが多いんですけど、正式にはまだ解明されていない数少ない謎です。時間をさかのぼることが主ですね」
「…へぇ。つまり移動術系の魔法とかによって発生した“歪み”がある一定の値に到達するとおこるんだよな?じゃあもう一回それを起こせばいいわけだ」
「たぶんそうです」
「どうやって?」
「頑張ります。でも、たいていの場合歪んでるのが元に戻ると勝手に私たちも帰るので問題ないですよ」
「どこに?」
「元の世界に、です。故意に遅らせることもできるにはできますが、どんな時でもその歪んでるのが元に戻っちゃったら帰っちゃうんですよね、どれだけそこにいたくても」
だからほかっといても帰ることはできます、とアクアが言う。
ウィングは眉根を寄せながら満天の星を見上げた。
「でもなぁ、あの子、クラウンじゃないと思うんだけど」
「何でですか?」
「目の色が違う」
「アイコンタクトですよ」
「…」
何を当たり前のことを、と言いたげにアクアが言った。
「あのなぁ、この場所でこんな星が見えるわけないんやって。あそこにある星、分かるか?特徴的な光り方をする“ルーキー”の系列の星だぜ?あの星は今現在一つしか発見されてない。数年で変わるようなもんじゃないし、これはたぶんめちゃくちゃ前の時代」
「へー。ウィングもたまには役に立ちますね」
「おい、アクアって毒舌キャラじゃないだろ!?」
「なんでもいいんですよ。とにかくもう一度向こうへいってみましょう」
「はいはい」
「気になることがあるんです」
「はぁ」
岩から岩へと移りながら風をよけるアクアは、下がった目じりを最高潮に釣り上げて言う。
「もしウィングの言う通りだとすると、ここは創造神様の死に場所です」
「…はい?」
「ここで精霊によって宇宙の支配者が死にます。そして“不確かな時代”が幕を開けるはずです」
「…ちょっとついていけへん」
「要は支配者がいなくなっちゃうわけです。神様が」
「なるほど」
「“後継者”が現れると予言はされていますが、やっぱり“不確かな(アンンサータイン)”です」
「で、これが運命の瞬間?」
「Yes.です」
「…」
ウィングは疲れてきた。

