パーフェクトフィアンセ


ホセは帰ってくるなり私を見て微笑んだ。

「可愛い」

何が、と問う前に口元を拭われた。

もちろん私はびっくりして反射的に目を閉じる。

「ソースついてた」

からからと笑って私の表情を覗き込むホセは悔しいほど綺麗に笑ってた。

びっくりさせないで、なんて言っても相手にもしてくれないんだろうけど。

「いいだろ別に。照れてんのも可愛くてやめられそうにない」

ほらやっぱりね。


「そうだ、今日どっかいくか?」

いきなりすぎる。

そう思うんだけどな、私は。

「買い物とか行きたくないのか」

何で、って言ったら困った顔で返された。

「だって今日午後から…」

そういってホセは悲しそうに瞳を伏せた。

私は完全に忘れてたんだけど、昨日はなんか発砲事件云々で死にかけたんだっけ。

だからセイとの婚約発表のことを完全に忘れてた。

「せめて午前は一緒にいてくれよ」

間に合うようには帰るようにするから、なんていうんだもの。

先に王室にいこって私は言う。

「なぜだよ?」

呼ばれたから、そう返せばじゃあさっさと行って来いって言われた。

悪いけど一緒に呼ばれたんだよ?

「なぜそれを早く言わない。お二人をお待たせするわけにいかないだろ」

大方今日の準備のことかなんて勝手に言ってるホセ。


ちなみにホセは私の専属の執事としても働いている。

朝の会議も多分そっちの仕事。

あとユートピアっていう国の現国王。

って言っても後にも先にもきっと彼が治めるんだろうけどね。

私との結婚が確定すれば神の血を引くことになるはずだから。

神の成長は最も美しい時に止まるの。

セイはもう止まったって言ってたけれどどうなんだろう。

実際。

怖くて聞けないのが現状。

腹黒くて…

セイが。


「なにぼーっとしてんだ。行くぞ」

ホセはもうすでに完璧な執事の顔に変わっていたのでした。