パーフェクトフィアンセ


すこし怯えた様子のクラウンを見ても俺は止まらなかった。

クラウンを支えて立ち上がって向かい合わせになる。

良くある格好だ。


ズキン、と俺の心が痛む。

こんなに綺麗なのに、俺が汚す。

なんで、そんなにきれいなんだよクラウン。

怖くなるくらいに美しい。

今から、俺が汚す。


「質問はないのか。今のうちだが」

分かってるわ、とクラウンが白い頬で微笑んだ。

ホセはないの?

お願い。

「…あるな」

了解させる気はなかったが、俺は笑みを妖艶なものにかえ、言った。

「俺だって戻ったんだ。お前も、戻れるよな?」

腕の中のクラウンが震えた。


い、いや。

いや、嫌なの、いや…!

「クラウン…?」

激しい拒絶に俺はひどい罪悪感を抱いた。


「いいから、いいから落ち着け。ごめん、俺が悪かったから」

啜り泣くクラウンが、ゆっくりと人間味を失っていったことに俺は驚いた。

「クラウ…!」


瞳は、中心に真っ青な宝石をもって猫のように瞳孔が広がる。

ますます白くなった肌。

金色の髪に星屑が混ざる。

神々しい雰囲気が俺を包んで俺は驚きを隠せずにいた。


生唾を呑んだ俺はゾクゾクとした感覚を沈めようとした。

「綺麗だ、クラウン」

ありがとう、と笑うクラウンにはもはや面影がない。

いるのは美しい女神だ。

「覚悟は」

ないわ。

は、と俺は顔をしかめる。

クラウンは悪戯っぽく笑って見せるとごめんごめんという。

覚悟なんていらないわ、私は“食べ物”でしょ?

俺は堪え切れずにギリギリの状態のまま首筋にキスした。