パーフェクトフィアンセ


本気で説明とやらをしだすホセに笑いを噛み殺して、私ははいはいと聞き流す。

それに気がついたのかホセは私の肩を掴んでついでに頭を固定した。

「ちゃんと聞け」

まさかこんな講座を聞かされるとは思わなかったの。

ホセはムッとしていいか、と切り出した。

「本来なら犬歯で頸動脈を噛みちぎるんだが、そんなことをすれば当然お前の命はない。

そこでだ、一旦穴を空けてから吸い出す。

つまり正攻法だな。

時間はかかるが仕方がない。

それとお前に聞く、動脈か静脈かどっちがいい?」

頸動脈をやっちゃえばがぶがぶ飲めるんだろうけど確かにそれだと私の命が危ない。

動脈で、というとホセは私を膝に乗せた。

向かい合わせの数センチ先にお人形…じゃなかったホセの顔がある。

確かに紅い瞳は緩やかに金色に染まってく。

「クラウン、怖がらないでくれよ」

バサッと生温い風に思わず私は目をとじる。

次に目を開けたら、さらに人間味の失せたホセがそこにいた。


ただでさえ精悍な顔つきは冷気を帯びて、スッと目を細める様は獲物を見定めているようで。

綺麗というには余りにも美しい。

髪は所々夜を移したように暗く染まり、ゆっくりと大きく揺れ動く大きな悪魔の羽が風を送って来る。

外された手袋を傍らにおいて

妖しい笑みを浮かべたホセは余りにも悪魔的だった。


「クラウン、ずっと一緒にいよう」