「クラウン、なんで」

いつもは無理矢理つれていくであろうホセが今日はなんだか大人しい。

ん?と顔を上げたホセを見れば一杯に溜められた涙。

動揺した私はあわてて張り付くセイを引き剥がし、よしよしとホセを撫でて見た。


「………」

ポロポロポロポロあとからあとから溢れる涙を止められないでいるホセは小さく呟いた。

「悪い。もう行かないと…」

また仕事?

そう言えばごめんと泣きそうに帰ってくる。

別に私はどうでもいいんだけど。

ホセが嫌なら止めれば、と言ったら無理、と言われた。

「まだ一緒にいたいんだ」

余計なこと、また考えてるのかな。

大丈夫なのに、と言えば顔を歪ませて駄目だ、と小さく呟く。

ごめんな、そういってホセは自分の部屋に戻っていった。

「くく…前途多難ということなんでしょう…くくく…」

セイは至極嬉しそうに言った。

「相手なかりりてはいみじきこともわろきことになりて…くくく…」

よくわからないことを言ってじゃあ、とセイはどこかへ行った。

ホセがいないと私にも興味無くなってるらしくて。

まぁ個人的には……哀しいかな。

でもいいか。


自室を出るとすっかり執事の顔になったホセが仏頂面でたっていた。


「会議のお時間ですが。御娘様」

うーん…哀しいな。