「ごめんなアクア」

俺は唐突に言った。

当然ウィングはギロリと俺を睨むしアクアは泣きそうな顔をする。

クラウンはよくわからない。

「ごめんな。ごめん。本当にごめんな」

一つ、1つ、ひとつ、ヒトツ。

何度も、何度も。

じわじわと染み出して来る狂気。

アクア、こんな俺、嫌いになっていいのにな。

どうして俺を愛したんだろうな、クラウン。

宿命なのに。

なぜ気にかけてくれるのか。

ウィング。

いつもいつも、俺に苛ついてばかりなのに。

なんで。

なんで。

ナンデ。

じわり、じわり、自分を追い詰めるように。

瞳を閉ざして、自分を外界から引きずり出して。

檻に閉じ込めて、言い聞かせる。

なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、なんで、ナンデ、ナンデ、ナンデナンデナンデナンデナンデナンデ。

答えは簡単。

コレハ、ゼンブ…

「ウッ…」

突然の衝撃で俺は目の前に星が散った。

後頭部を抱え耐えられずにうずくまると冷たい言葉が降ってくる。

「まだ直ってねえの。その洗脳癖」

「あともう少しだったのに。邪魔をするな」

「お前が壊れるとこは山ほどみてんだ。もう十分だよ」

あともう少しだった。

もう少しで、心を"壊せた"。


幼い頃、言い聞かせられて納得できないときはいつも、いつも…

壊したい。

あぁ…


俺は押さえきれない破壊衝動に駈られた。

心ほど面白いように崩れるものはないのに。

どうして。


「なんで壊したくなったんだよ」

「…俺を好きって言うから」