パーフェクトフィアンセ

"___ナイデ"

"コワ__ヨ___"

"_____"

ビリビリと途切れていく星の声。

いつもなら昼間はそんなにも聞こえやしないんだが。

今日は…なぜ。

"ダ___ウブダカ__テ"

「大丈夫です…ホセ…」

嘘だろ。

まさか…

"ダキシメテ"

酷くはっきりと声が聞こえ、華奢な腕が俺を包んだ。


俺は痙攣でも引き起こしたかのように震える。

そっと頬に添えられた小さな手は確かに俺の涙を拭ってくれた。

フワリとした意識の浮上と共に、嬉しそうな笑顔が見えた。

「…見ない間に…大きくなったな…」

静かに聞こえた声には優しさが混じっていて。

「成長期ですから」

高価なアクアマリンを割いたように青い髪に顔を埋め、暖かい体温を感じた。


すると自然と折れそうに細く白い首筋が近くになるわけで。

「アクア、襲うぞ」

「どうぞ」

いやだめだ、俺は首筋から無理矢理今にも吸い付きそうな口を引き剥がす。

だらしなく溢れる唾液は確かに飢えを表していたけれども。

「襲うかもしれな」
「どう」
「そういう問題じゃない」

違う。

襲いそうだから離れろと言ってるんだ。

被せたアクアにさらに被せて俺は頑張って突き放した。

「喰われてみたいんです」

「…馬鹿かお前は」

「気持ちいいってウィングから聞きました」

「………あのな…いいわけないだろう」

「えー」

「残念がるな」

あまりに"気持ち悪くて"涙を流して腰を抜かした奴等を俺は知ってる。

そのあとせがんできたときはきっと…うんそうだ、気分悪すぎておかしくなったんだろう。

……だいたい、途中で止められるか分かったものじゃない。

「でも…やっぱり喰ってほ」
「止めろ。意識的に誘うな」

わざと耳に髪をかけて首筋を露にし、カクンと首を傾ける様は確かに食欲を掻き立てた。

が、悪戯が過ぎる。

その時、澄んだ声がした。

はい、おーしまい。

「あ、クラウン!」

何故か不機嫌そうなクラウンが出てきた。

…どうした?