パーフェクトフィアンセ

じゃあまたあとで。

そういって部屋へと歩いていくクラウンを見つめて、軽く俺は溜め息をついた。

ユルリと揺れる金髪が酷く輝いて、くらくらと目眩を起こさせる。

…いや、貧血をクラウンのせいにするのは良くない。

やめよう。


ちなみに、俺の部屋はクラウンの部屋の隣になった。

クラウンは一緒に寝ようと誘って来たが、いつなんどき襲いかかるか分かったものじゃない。

丁重にお断りした。

さすがに意識もなく首筋に歯をたてるとは考えにくいが、万が一だ。

最近は特に飢えている。

とにかく嫌われる訳には行かない。

俺はただでさえ、生まれたときから他人と差が開いてたから。

クラウンの為なら…

死ねる。



そう言えばウィングが来ていたな、なんて考えながら俺は部屋の扉を開けた。

そこには当然使われた形跡のないベッド。

そしてそれに座るウィング。

「あ、ホ」


俺は部屋の扉を閉めて、扉にもたれかかった。

どうしようか。

もう幻覚が見えるようになってきた。


やっぱり俺、

おかしくなったか?