優しい優しさが

俺の狂気を増幅させ、また、濃厚にしていく。

クラウン、ごめん。

お前の隣を歩きたいと願って。

ごめん。




「来客?」

「はい。クリアスさんともう一人お連れのかたが」

「……クリアス……」

誰だったかな。

問いかければクラウンから呆れたように帰ってきた。

ウィングでしょ、と。

ウィングとは昨日以来会っていない。

裏を返せば昨日会った。

いくらあいつが移動系魔法の使い手でもだ。

一日も開けずに来るか。

「そんなにクラウンに会いたいんだな」

ちょっと絞めよう。

「…あなたに会いに来たっていう発想はありませんか?」

「俺に?」

いやそれはないな。

「…とりあえず、あなたの部屋に待たせてあるので…」

「分かった。ご苦労様」

名もなき童顔のドアボーイにヒラヒラと手を振ると、相手は赤面して顔を背けた。

「嫌われてるのか?俺」

心当たりは山のようにあるが、存在を否定される可能性が高いので聞くのは止めておこう。

立ち直れない。


「お前は俺のこと好きでいてくれるよな?」

その声が届いたかは分からない。

コクリと首が動いたのは気のせいだったと思う。

思い上がりは避けたいから。

クラウンには迷惑かけちゃいけない。

棄てられる。