私は長い長い夢を見たようにしばらく地に降り立ってもボゥーッとしていました。

ぼんやりとした視界の中、不意に風の香りが鼻を掠め、私はドキリと目を見開きました。

「着いたぜよ。アクア」

1つ、言わせて下さい。

「何弁ですか。」

「ん?土佐弁」

「…」

もういいでーす。


「んで、あっちにでけえのがあんだろ?あれが城って訳」

「そうなんですか」

お前はホセとは三年ぶり位だろ?

そう笑うウィングに私も微笑んで、

「いえ、一昨日会いました。リアルじゃないんですけど」

「え」

あ、フリーズしてるです。

「行こうですよウィング!」

「あ~、うんま、そうだな」

「?」

あれは食用ではないと思いますけど…

まあ、感性は人それぞれですから!

いっか。




そういって、私達は歩き出す。

「やっぱり天使」

そう呟いたのは、一体どちらだったのでしょうか。

人ごみに紛れて消え入る言葉は、お互いにだけ届きました。