パーフェクトフィアンセ


「ねえホセ。」

「ん?」

「ホセは俗に言うイケメンなのか?」

「面白い事言うな、お前。」

ワシャワシャ髪を洗いながら、ホセはカラカラ笑った。

「お前はどう思う?」

「顔のパーツの比から言って最高。統計学から言っても申し分ない。」

「あはは。」

両足の間にライオを挟み込んで、ホセは幸せそうに笑った。

「お前は俺似かな。」

「…ちょっ!!」

泡だらけのほっぺに軽くキスされて、ライオは真っ赤になった。

「ガールフレンドはできたか?」

「できないよ!!」

「じゃあ好きな子は。」

「だからできないよ!!」

「そうなのか?」

物凄く残念そうにホセはそういった。

「いいな、彼女ができたら紹介しろよ。」

「んーもうっ!!」

ライオは痺れを切らして叫んだ。

「教えてくれるんじゃないの!?何で魔界に行くか!!」

「そうだったな。」

ほれ、とライオは持ち上げられてしまった。


「俺の故郷は魔界だ。」

「知ってるよ。魔界ってとこの高級住宅街の出なんでしょ。」

「そうだ。」

良く知ってるなーとよしよしされた。

「吸血鬼は、体内で貴金属を育成できる。」

「…?」

「ちょっと刺激が強いが。ま、酷い事をされるんだ。」

「…うん。」

「その貴金属はとても高く売れるんだ。だから悪い人が吸血鬼を捕まえて酷い事を沢山してるんだ。」

「…酷い事って?」

「痛くて、辛いことだ。」

「…ふぅん。」

「気が狂うくらい、苦しくて痛いんだ。」

「…」

「ふふ、いまいち分からないか?」

ホセは湯船のお湯を掻き回してそういった。

「見ていろ。」

不意に立ち上がって、お湯から上がると湯船の端に腰掛けて十字をきった。

「!」

途端に、ホセの身体中に傷が生まれる。

大抵は癒えているが、深く深く傷が残った肌。

「あ…?」

「痛そうか?」

怯んだライオに、ホセは優しく囁いた。

「触ってみるか?」

こくん、頷いてライオは恐る恐る傷に触れた。

「痛い…?」

「いや?」

傷は、痛まないとホセはそう言った。

「でも、この傷を見るたびに、苦しくなる。絶対忘れられない、苦しみの記憶が蘇るから。」

ホセはそう言って、お湯に浸かった。

その頃にはもう、体の傷は消えていた。

「メカニズムが気になるか?」

「…うん、でも良いよ。」

そんなことより、ホセ。

「吸血鬼の人たちは、みんなそんな傷があるの?」

「ない奴もいるけれど、大抵は傷だらけだ。ちなみに、ない奴って言うのは」

死体だ。

「生まれたばかりの子の、な。」