パーフェクトフィアンセ


「なんか欲しいのあるのか?」

どうだろうね。

大きな音でその存在を主張する機械たちの間をすり抜けながら二人笑った。

「あれどうだ?」

やりがいがありそう。

取れるの?と言いたくなるようなおおきさのぬいぐるみがガラスケースの中で歪にゆがんだ形をしていた。

「可哀想で見てられない」

月兎をモチーフにした可愛らしいぬいぐるみ。

首のピンク色のリボンは綺麗な蝶結び。

大きさは…50cmはありそう。

基本丸いフワフワの人形だった。

ホセはゆがめられた形に同情したらしい。

「今助けてやるから」

たしかに可哀想な形だったとは思う。


でも。


「欲しいか?」

千はするよその子。

なんで三百で取るの。

お店の人が可哀想だよ。

しかもとったら興味なしなの?

「可愛いとはおもうが俺の部屋には子猫ちゃんがいるから」

あ、そう。

用は本物がいいわけね。

「金髪のうさぎちゃんでいっぱいいっぱい」

うさぎ言うな!!

「可愛いって言ってんだよ」

貴方の中の私のイメージって…

「可愛い可愛い可憐なうさぎちゃん」

なにそれ。

「可愛い」

しってるよ?

うん、ホセが仔のつくものを対等に愛してることは。

でもね私…

「仔供だろ?」

字がおかしいです。

「お菓子って何が好きだっけなお前」

グミなんてどうだ?

と聞いてくるホセに私はため息をついた。


取り過ぎだよどうするのこれ。

「別にどうこうすることはない。持って帰ればいいだろ」

特大サイズの袋が三つ。

一つはお菓子でパンパンだし、

二つ目はプラスチック製の宝石とビーズのキーホルダー。

三つめはあの月兎が二つ入ってる。

多い。

しかもこれ全部で三千も使ってない。

「いいよ、俺が持つから。月兎だけ抱いていけ」

三袋とも肩に担いでさあ行くぞって。

どくにいくの。

これ以上。