パーフェクトフィアンセ


服を買って着替えて、向かったのは

アイスクリーム…?

「こういうの好きだろ?」

まぁね、好きだけど…

「や?」

首コテンは止めよっか。

「いいだろ。お前の表情…」

マジ止めて。


結構長い列に並んでいると、ホセがメニューを渡してきた。

聞けば店員にもらったとか。

その店員が女だったかはあえて聞かないけど。

「お前甘いの好きかと思った」

の割に意外そうな顔しないのね。

知ってる?そういうのを確信犯っていうの。

「知ってる。というかあれだろ?結果を分かってて…」

はいストーップ!

「クラウン、お前大人だな」

今更過ぎて泣けてきます。

「コーヒーとか…でミルクとか…しかもアイスインジェラード…」

馬鹿にされてる気がする。

アイスインジェラードは、文字通りアイスの中にジェラードが入ってるの。

イメージは大福とかかな。

形は基本惑星型。

たいていカップに入ってる。

普通より横長のカップの上にドーム型の蓋がついてる感じ。

蓋はもちろん迷走防止。

惑星型だからね、フワフワしてるの。

「普通にスーパースモールツーカインドにすればいいじゃねぇか」

用は一番小さい直径3cmくらいの惑星型のアイスが2種類ってわけね。

一番ポピュラーな割に名前が長い。

そして略したりしないのが不思議。

ホセの会社のUTOPIAS(ユートピアズ)とかユーズって言われてるのにね。

「会社名とサイズは違うだろ」

でもミディアムをMとかスモールSとか言うじゃんか。

「サイズだろ」

だから、スーパースモールツーカインドもさ…

「じゃあSSTKとでもいうのか?」

…そのままのほうがいいかもね…

「一時期言われてたが会社側が起訴した」

嘘!?

「嘘言ってどうする。考え付いたやつ探し出したりして大変だったんだからな」

それはご苦労様…

「結局注意喚起で終わったが」

でもそれで完全に消えたな、というホセは正直言って怖かった。

何で知ってるんだろう。

「仕方ねぇか、30年前のことだし」

恐い。どんだけ情報通なの。

「ほら、順番」

もういいや。


「美味しい?」

食べないの?

「俺はいい。お前見てるだけで胸がいっぱい」

ニコッと笑うホセにときめくしか選択肢がない。

それにしてもよく笑うようになったよねホセ。

「そうか?」

おぼえてないの?前ほんとにお人形だったんだから。

「そっちのほうがいいのか?」

なわけないじゃんか。

大好きだよ?

「ありがとう」

ホセには笑顔がよく似合うもの。

超イケメン。

「世辞でもうれしい」

そこは認めようか。

犠牲者が出るから。