パーフェクトフィアンセ


「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

私はビクッと飛び上がる。

電話の向こうから物凄い断末魔のような叫び声がしたのだ。

一体何が起きたのかちっとも分からず、不安げに相手に呼び掛ける。

なにがあったの、と。

「あーっと、お兄ちゃんがウィング虐げてるんです。あ、ウィング這いつくばってるww」

いやwwじゃない。

仮にも夫が虐げられてるのをみて喜ぶな。

「あ、蹴られた蹴られたwww」

一体何が起きたのかちっとも分からず。

私はウィングの冥福を祈った。

「ヤバイですよ踏まれてる踏まれてるwwww」

そんな幸せそうに言っちゃ駄目だよアクア。

アクアの人間性が疑われちゃうよ。


時おりドシュッと音がする。

ウィングはちゃんと生きているのだろうか…

というか、お客さんは…?

「今日は定休日です。というか、お兄ちゃんとウィングだといっつもこんなんなるので」

バックにウィングの叫び声が聞こえる。

「お兄ちゃん色々溜まってたみたいですね。いつもは踏まれるだけなんですけど」

ちょっと待ったいつも踏まれてるの?

「今日は屈辱的なことを叫ばされてます。お伝えしたいんですが、私も言いたくありません」

助けてあげてアクア。

ほんとに助けてあげて切実に。

しかも具体的に言えないレベルのことを叫ばされているのだろうか。

子供に見せられたもんじゃないよね?

「大丈夫です。ディアン以外は外で遊んでます」

ディアン聞いてるじゃんか。

全然大丈夫じゃないよ。

「あ、気絶しちゃったです。ごめんなさい蘇生魔法かけてきます」

いい。

安らかに眠らせてあげて。

いっそ殺して下さいレベルの拷問なんじゃないだろうか。


私は閉じ込められてさえいなければ助けに行きたかったのだけれど。

残念ながら部屋の扉は過保護なホセのせいで固く閉じられてしまっていた。