「やあ、ジュエル君。奇遇だね、私も君に会えるかもしれないと思っていたところだ」
確率は低かったが、とNは言った。
「…」
「用件は分かってるよ、ジュエル君。覚悟はできているのか…いやすまない、愚問だったな」
アクアを天界に送り届けた後、ホセはNに会った。
「Nさん、俺がやるべきことを教えて下さい」
「いいだろう、だがその前にジュエル君。君にいくつか確認しなければならないことがある」
そういってNは、にっこりと微笑み、三本指をたてる。
「1つ目、君は私を信用してくれるか」
はい、とホセは機械的に言った。
「2つ目、君は私に対する以上に自分を信用できるか」
ホセは一瞬怯んで、Nは笑って続けた。
「3つ目、ジュエル君これが一番重要だ…ホセ」
君はとても優秀な子だ。
私にとっても君は息子のような子だからな。
私は君を失いたくはない。
「君は、勝ちたいのか?」
ホセは、はいと。
強くそういった。
「…そうだね、ジュエル君」
しばらくは二人の旅になる。
君が自分を信用できなくちゃいけないから。
ゆっくりと時間をかけよう。
「Nさん、俺には」
きっと待ってる人がいるんだ。
Nは一瞬眩しそうに目を細めて、微笑んだ。
「…その人にもう一度会いたいなら、焦っちゃいけない。でなきゃ君は檻の中から彼女に会うことになるよ」
「分かりました」
「最後に、これはアドバイスだが、ジュエル君」
君は、自分と闘うんだ。
でもね、敵対して戦っちゃいけない。
あくまでわかりあう為の、いわば友好試合だよ。
☆*☆*☆*☆*☆
とある星にホセを送り、Nは呟いた。
「勝ちなさい。決して倒さずに、憎まずにだよ、ホセ」
憎しみと怒りに捕らえられれば君は必ず負ける。
「健闘を、祈ってる」