その日は、あまりにも突然だった。
ゆっくりと、窓辺に降り立った悪魔を感じて私は血を流すのを中断し、窓を開けた。
私はそれほど衰弱していた。
「…」
髪は、微かに深紅が混じった美しい闇色。
金色に、危険に輝く瞳。
スラリと伸びた手足は美しく、傷ついた悪魔の翼すらも美しく。
口角から覗く尖った歯は、滅多に見ない吸血鬼のそれで。
「何で」
ポタリ、と金の瞳から涙が流れ落ちた。
「なあ、クラウン」
それで、その一言で私は一気に目覚めた。
「まだしてないならだが。結婚しよう、クラウン」
愛してる、とそういったホセは美しく。
私は涙と血を流しながら、ホセに全てを預けた。