パーフェクトフィアンセ


…こうなると思った。

やっぱりこうなった。

だと思ったの。

「どうした?」

どうしたもこうしたもないの。


視線が痛いの。


これだけ。

「どこ行きたい?って服屋って言ってたな」

来いよ、と中心街に入っていくホセ。

つながれた右手がどくどくと脈打っているのが分かる気がした。

…いろんな視線が痛い。

本当に助けて。

死にそう。


ここでいいか?と聞いてきたホセを見上げてその先に目を移せばショッピングモール。

どう考えても視線を集めてる。

「いや?」

慌ててううん、と首を振ればそうか、と言ってホセは微笑んだ。

あぁ、なんか犠牲者でたよ…

「手、いいか?」

ん?と聞き返せばさらに強くつかまれる。

「痛くない?」

なんて優しいふりをする。

そんなにされて、心臓おかしくなりそう。

分かってるでしょ?

証拠に、ホセは返事も聞かず大型衣料品店に滑り込んだ。


止めよ。

振り返って笑顔を振りまくの。

犠牲者出るよ。

あ…

うん、現在進行形で。