パーフェクトフィアンセ


次第に、私の中でホセが失われていくのが分かった。

他の他愛ない思い出と一緒に、ホセの記憶も消えていく。


あれだけ鮮明なホセの悪夢は、だんだんぼんやりと霞み、掴もうとして消えてしまう。

辛い悪夢は、忘却という更なる悪夢に倒されたようで。

ああ、もう失われるのが怖い。

夢を、見たくない。


だから気を張って、必死で眠らないようにした。

でも微睡んで、また悪夢を見て。

時々現実に帰っては、また忘却に絶望してしまう。


まず始めに、部分部分が思い出せなくなっていった。

声を忘れ、足を忘れて。

両手を忘れて、言葉すら忘れた。

どんな性格だったっけ。


あれ、ホセって身長高かったっけ。

髪型は?

動作は?

どこに行った?

何をした?

何を話した?

どんな輪郭?

どんな…


手当たり次第に失われて行くホセの記憶に、私は醜くも足掻いて、足掻いた。