~そうして城門の前にて~
「どこ行きたい?」
勝手なのね意外に。
「帰るか?」
勝手なのね本当に。
お洋服屋さんって言ったら沈黙で返された。
「可愛いな、お前」
いきなり過ぎない?
「『お』と『さん』つけるか?その年で」
まぁ可愛いからいいけどな、とクシャクシャと私の頭をなでるホセ。
忘れないでね、彼十八。
私も十八。
忘れないでね。
絶対に。
「可愛いというか、綺麗って言わねぇとな」
もう十八だもんな、と言って彼は笑った。
忘れないで、同い年だから。
「洋服屋だな。行くぞ」
優しく私の右手を包み込むホセ。
何でだろ、何で理想的な身長差になってるのかな。
「ところで、目立たないか?お前のスタイル」
私はともかく、あなたが目立つわ。
しかも二人で街なんか歩いたら…
「安心しろ、俺が守る」
駄目だ。
分かってない。
貴方が危ないの。
いろんな意味で大騒ぎなの。
分からない?
「その服装なら少なくとも王族だとはばれないと思ったんだが、その美貌じゃな…」
同じこと返していい?
「俺は問題ない」
大ありですけど。
似合い過ぎなのそのショール。
止めて。
たなびかせないで。
くらっとくるから。
「なんか変なものしみこませた覚えはない」
でしょうね。
何?天然なの?
どう考えても見た目でしょ。

