生きてる?
王室を退室した後、ホセの眼は虚ろで、私は不安になった。
まさか幽霊なんじゃ…?
「!!!」
お、大丈夫みたい。
不安になって頭触ってみたけれどちゃんと感覚あるし。
「クラウ…!今…!」
瞳が揺れて動揺しているのが分かる。
ああ、私が触れた、からかな。
「馬鹿…!汚いだろ!!」
馬鹿はどっちよ。
貴方が気絶してる間に何回やったと思ってるの。
このくらい。
「気絶!?何回って…」
体が腐敗したらどうする、あれほど言ったのに。
なんて。
そんなことで?
そのこと本当に信じてるとは思わなかった。
…やっぱり馬鹿じゃないの。
「お前を汚したくない」
馬鹿にもほどがあるわ。
なにがお前を汚したくない?
貴方は触れさせてもくれない。
「触れられるのは衣服に覆われた部分だけだ」
一回着たのは絶対殺菌処理してたね、そういえば。
そんなに徹底して、人肌が恋しくなったりしないの?
「するが諦める」
馬鹿か。
何でそこ諦めるかな。
「出かけるんだろ。行くぞ」
手をつないでも手袋越しじゃ、体温さえ感じない。
「ほら」
知ってる?
その手袋、どれだけ冷たいか。
どれだけ私があなたに触れたいか。
もし穢れるとしても、あなたに触れられるなら、私は。
両手を、赤く染めてみせる。
そうしてお揃いだね、なんて言ってみたいとさえ、思ってること。
知ってるの?

