パーフェクトフィアンセ


ホセは私の足首の鎖を噛み切って大丈夫か、と私を抱きしめる。

「ごめん、な」

私はそっとホセの真っ赤な髪を撫でる。

「ごめんな、ごめん、ごめんな、さ、い…」

がくがく震える体を何とか支えながら私はホセに大丈夫だからって言ったけれど。

大丈夫じゃないのは、ホセの方だったみたいで。

当然といえば、あまりにも、自然。



三歳から今日まで、たった一人の家族だったアクアを。


すべてを懸けてまで守ろうとしたアクアを。


目の前で失った、その原因すら自分にあるとすればホセは。



おかしくなって

しまうかもしれない。



ホセ、大丈夫だから。

お願い、大丈夫だから。

大丈夫だから。

何も心配しないでいいから。

何も。

ホセ。

ホセ。

ホセ…


何度も私はホセを呼び、強く抱きしめるけど、ホセは不安定で危なっかし気なごめんなさいを繰り返すばかり。

アクアの死はホセにとっては重すぎて、押しつぶされてしまいそう。

アクアの死は悲しすぎて、ホセには耐えきれない。

だからホセお願いだから。

私を頼って。

大丈夫、ホセは一人じゃないんだから。

私がいるんだから。

「…クラ、ウン」

ホセは私の名前を一度きりそう呼んで、ふわっと消えた。


私は何とか自分の部屋に蜃気楼(ミラージュ)で戻り、ホセの部屋に入ろうとして、入れなかった。

強力な結界を幾重にも重ねた壁は私でなくとも破れはしない。

もともと結界って言うのはただでさえ張る方が簡単だから、壊せない。

同じ魔力なら、結界の破壊魔法を使わない限り結界は力技では壊せない。

それに壊しても、壊しても再生するホセの結界は強固すぎて。

私には壊せなかった。