パーフェクトフィアンセ


好き?

それは仲間として、です?


真剣に告げられた言葉に、アクアは首をかしげる。


付き合って…ですか?

それはホセに言われた買い出しにですか?

それとも…


言い終わる前にアクアを抱きしめ、キスする。

アクアはホセに似た真っ白な肌をパッと赤く染めて、腕を突っ張り後退した。


ふぁ、ファーストキスをそんな簡単に奪わないでください!!

もう、白馬の王子様に捧げたかったのにな。


あは、と笑って、アクアは言った。


ウィングなら、責任とってくれますよね?


俺はアクアを抱きしめて笑って、あたりまえだって言った。

アクアの笑顔が大好きで、ずっと見ていられるほどで。

氷を溶かす春のように、俺を包んでくれる、そんなアクアが、大好きだった。




お兄ちゃんとウィングと?

お兄ちゃんに決まってますよ。

お兄ちゃん以上の人はこの世にもあの世にもいませんから。

しかし奇遇ですよね、ホセがお兄ちゃんでなかったら私はここにいないわけで、お兄ちゃんとも会わないわけで。

私がここにいるのはホセがお兄ちゃんだったからで、そう考えると案外、私の運命の王子さまはウィングに違いありませんね。

どうです?


勝ち誇ったように笑ったアクアが生意気で、俺はうるせーな、と悪態をつく。


結局ですか?

好きなのはもちろんお兄ちゃんですよ。

一緒にいたいのもホセです。

でもそうですね、ウィング。

お兄ちゃんでもないのに、ホセでもないのに。

こんなに一緒にいて楽しいんですから、私はウィングが好きです。

大好き。

ウィング、大大大、だぁーい好き!!




しょうがないじゃないですか、夜に出歩くの、お兄ちゃんが許してくれなかったんですから。

こっそり出てきちゃいました、えへへ。


月夜の晩に、アクアはケラケラ笑う。


あはは、大丈夫ですよ。

ウィングが無事で済むかは保証しませんけど、私は大丈夫です。

…冗談ですって、ウィングも大丈夫ですよ。

大体、お兄ちゃんが本気で見張ってたら私たちが敵うと思います?

間接的にでも、許してくれたんです。


ねぇウィング、とアクアは甘えた声で俺にすり寄って。


キスとか、こんな海でするのもいいですね。




いいえ、絶対にそうです!!


そんなことない、と俺は慌てていったけど、アクアは聞く耳を持たなかった。


クラウンをばっちり追ってました!!

視線が完全に胸元に行ってましたもん!!

ウィングの変態!

馬鹿!


怒って立ち去ろうとしたアクアに、俺は許しを乞うように後ろから抱きしめて、耳元で囁いた。


クラウンを見てたんじゃねーよ。

あいつのしてたネックレスが、お前の髪色に似ててドキッとしたの。




うーん、まぁまぁですね。

悪いとこはないんですけど。


おい、彼の作ったものは何でも美味しいって食べてくれよ。


何言ってるんです。

そんな虫のいいことしないですよ。

でも一個、ウィングが喜びそうなこと言ってあげます。


ものすっごく上から目線に、アクアはそういった。


ホセの料理と、同じくらい美味しいです。


それはアクアの、俺に対する最高の褒め言葉だった。




ウィング、大好きです。

お兄ちゃんに対するのと一緒くらい。




子供とか、何人がいいって希望ありますか?

…?結婚を前提のお付き合いじゃなかったんです?




間接キスとか…!

照れるじゃないですか、ウィングのばかっ!!




ひ、冷やかさないでくださいよ!

お返しですっ!!




お兄ちゃんのお手伝いしたお小遣いで、自分で買ったんですよ!

大切にしてくださいね、えへへ、お返し期待してます♪








ウィング、一緒にいてくださいね、私が死ぬまで。

私がいつか、ウィングの前からいなくなるまで。




いろいろと、本当にいろいろと約束は破ってきた俺だけど。

俺の大切なアクアとの約束だけは、守れた気がする。

だって最後にアクアが見ていた景色は、俺だったんだから。