パーフェクトフィアンセ


「お兄、ちゃん…?」

「悪いな」

「いや…待って、待ってください」

「お前を葬ればあいつも死ぬだろう」

「待ってくださうぅっ」

「選択の余地はない…お前より俺が強い。それが答えだ」

苦しさでボロボロになった涙腺からはただでさえ多い涙がさらに多くなっている。

きれいで大きな水色の瞳は澄みきった池に沈んでいるようだった。

「待って、おね、がい…し…ま……す………」

パタパタ手足を動かして抵抗するも、ついにパタッと動かなくなった。

「アクア?」

ウィングが金縛りが解けたように崩れ落ちた。

…ううん、きっとほんとにそうなんだと思うけど。

「アクア!!」

「…気を失っているだけだ。すぐに目が覚める」

「なんでこんなこ…!」

ウィングの言葉はホセによって遮られた。

「ちょっ…!」

ホセが思いっきりウィングに顔を近づける。

ウィングは思いっきり顔をそらし、うざ、と囁いた。

「静かにしろ…妖精が起きるだろう…」

「っ…俺は!!」

「うるさい」

ホセはウィングに絡みつくようにして口をふさいだ。

「次でかい声出したら…」

そういってウィングの首をなぞる。

…うーん、ウィングが真っ青。

私はホセを引きはがそうと近づいた。

「ん?安心しろ、愛するクラウン。俺はこいつの命に興味はない…軽くからかってやっただけだ」

どっちかというとどうとも思ってない人に勘違いされるようなことをしないでほしい。

「ウィング、アクアが起きたら伝えろ、悪魔が、猶予をくれた、と」

「は…?」

「アクアはもう十五だ…きっと。責任もって援助は惜しまない。双子でも三つ子でも五つ子でもいくらでも生んでくれ。式はいつあげる?呼んでくれるのか?」

「は、あ、あ?」

ウィングはコテン、と首をかしげている。

「最後に、かなえたい願いがあるなら言ってくれ。できることなら何でもするから…ああ、クラウン殺せとかはだめだからな、俺ができることに…いや、なんでもない、なぜ怒るんだクラウン」

私がホセをにらむと、ホセは背が高いのにわざわざかがんで上目を遣う。

「クラウン…」

わざと切なそうな声を出して…ああ、ずるい。

あれだけ容姿を自覚しろしろ言い続けておいてなんだけど、やっぱり自覚しないでほしい。

「…ホセのばか」

だって、悪用されたら終わりな気がするの。