「クラウン」
歌うように現れたホセは両手に花ならぬ人間を抱えていた。
よくよく見ればアクアとウィング。
二人とも拉致してきたらしい。
私はホセをそっと上目遣いに見た。
頬は土気色、瞳は落ちくぼんで暗い。
すっかり疲れ切った様子のホセを私はそっと抱きしめた。
少し休んで。
そう、言葉を添えて。
「ほら、もう、寂しくないだろ?」
私は寂しがっていたようで、ホセは笑顔でそういった。
ホセ。
「なんだ?」
休めないの?
そういって私はホセの服の裾を引く。
ホセは少しうれしそうにん、といって振り返った。
聞こえてなかったみたい。
もう一度私は切なげに言う。
ねぇ、体、壊れちゃうよ。
心配するな。
そういってホセは私を抱きしめた。
心なしか、ひどく汗をかいて、熱い体で。
慌てて私はホセの額に手を乗せる。
酷く、熱い。
「クラウン…」
微笑んでホセは私の手を振り払った。
そのまままた、いなくなって。
アクアもウィングも目が覚めて、何度も何度も寝たり起きたりして。
ホセは帰ってこなかった。

