パーフェクトフィアンセ


「失礼し…」

律儀にノックしようとするホセを押しのけて私は中へ踏み込んだ。

「おいクラウン…」

完全にお人形状態の私。

ヒョイ、と軽々しく持ち上げられた。

「作法は大切なんだ」

いいでしょ、と言えば溜息で返された。

「…あのな」

何か言おうとしたけれど溜息が後に続いてストン、と落とされた。

ていうか、置かれた。

「失礼します」

綺麗に無機質で優雅なお辞儀を見せて頭を垂れるホセに他人事のように私は見惚れていた。

「クラウンには難しいか」

ん?

なんか悪いことが聞こえた気がした。

「…御用でしょうか、最高神様」

「相変わらず律儀なこと」

「クラウン、少しは見習いなさい」

「滅相もない」

酷い…

お父様まで…

多いもん。

「はぁ」
「はぁ」
「はぁ」

溜息重なったよ!?

え!?

「いいんです。御娘は楽しく笑ってれば」

「悪かったなクラウン。お前に礼儀を望んだのがそもそもの間違いだ」

「大丈夫。貴方の無礼は彼が補ってくれるわ」

「滅相もございません。私など不躾なものでしてお見苦しいことを」

意味分かんなーい!!


とにかくです、とホセが話題を逸らした。

「御用は何でしょうか」

「クラウンと付き合ってる?」

ビクッとホセが肩を揺らした。

「…もう七、八年ほどは」

「恋仲?」

「……」

あーあ、フリーズした。

ホセどうやって答えればいいか迷う時すぐ固まるから。

「どう答えろとおっしゃるんですか…?」

完璧主義者め。

どうか聞いてるんだから答え方云々どうでもいいでしょ。