俺が通っている学校は
ディストラクション、オーディナリー
共に通学が可能な数少ない学校
〈紫雨学園高等学校〉だ。


共存といっても
まだまだ偏見が残っている。


200年以上過ぎているのに哀れなものだ……


「おはよ……」


朝早く着き過ぎた為
まだ殆どの席は空席だが
一応挨拶しておく。


それから10分くらい経った頃……


「おはよ!!
 ねぇねぇ碧稜この眼かっこ良くね!?
 俺さぁ朝から超〜迷ってから、
 こっちに入れたんだけどさぁどう?」


一応、親友の
金目 燈月が嵐のように現れた。

彼はオーディナリー。

殆どの人が俺が
ディストラクションだというのと
この不思議な髪の色と眼の色を
気味悪がって話しかけてこない。
だけど燈月は俺に対して
偏見も持たずに話しかけてくる
アホなのか優しいのか分からない奴だ。


「知らねぇよ……」


先ほどの質問に本音を言ったら、

「酷くね!?マジ答えて!!
 コンタクトの先輩の
 碧稜に見て欲しくて……
 ねぇねぇどう、どう?イケてる?」

と必死に言われたのだが分からない。


「うん……まぁ、いいんじゃない……
 ていうか毎回言うけど俺のこの眼は
 コンタクトじゃないぞ……
 全く…ニワトリ並みの記憶力だな……」


毎回、コンタクトじゃないと
訂正しているのだがそこはアホな燈月……
一度寝てしまうと記憶が抜けるらしい。


そもそも俺には
燈月の言っていることが分からない……


俺は自分の眼が昔から
気味悪がられていたし、大嫌いだから、
格好いいとかワケがわからないのだ。


「コンタクトじゃないんデショ?
 分かってマスヨ……
 そんなコト……
 碧稜の常識じゃナイデスカ……」


「あ、忘れてたなお前……」


「そ、そんなことナイヨ?」


「いや、その片言の日本語の時点で
 もう忘れてましたよって
 肯定してる様なもんだぞ……」


「そんなことよりさ、
 碧稜、アレ知ってるか?」


急に話が変わるのは
燈月と話している時のお決まりである。


「アレ……?」


分からない俺は
燈月に早急の説明を求める。


「本当に知らないのか……
 あんなに噂になってんのに……
 多分、アレを知らないの
 この学校で碧稜くらいだぞ…」


俺はハッキリ言って噂の類が
大嫌いなので絶対に聞かない。
だからそんな事、知るわけが無いのだ。


「いいから、アレって何なの?」


真顔で俺が聞くと
燈月は何かを考えだした。


「ハァ……
 とりあえずここでは話せないな……
 場所を変えるぞ」


そう言い、教室から出て行った燈月の
後に続いて俺も教室を出たのだった……