「それで、別れたんでしょ?」
あの時の光景が、フラッシュバックしてくる。
抱き合う2人、甘い声、腰を振る秋くん、
女の人の勝ち誇ったような笑み…
「いや…っ!」
『邪魔が入っちゃった。今度は気持ちよくしてね』
「やめて…」
『話を聞いてくれないか?』
「やだぁっ」
両手で耳を塞いで、目を強く閉じる。
ふと、体に感じる温もり。
手を離し、目を開けると夕樹くんが私を抱きしめてくれていた。
「ごめん、汐音…ごめん…
こんなつもりじゃなかった…本当にごめん」
そう謝る夕樹くんの声は微かに震えていて、私の背中に回された手に力が入る。
この人は、本当に優しい…。
「ゆ、き…くん…」
ぼんやりする頭で私も夕樹くんの背中に手を回す。


