「帰ろうか」
「うん」
はぐれないように、手を繋いで並んで歩く。
そう言えば、これってデートっぽい。
と、今更ながらに思った。
「夕樹くん」
「なに?」
隣を歩く彼からはシトラスのような優しい香りがする。
その事にほんの少しどきどきしながら、
平静を装い話しかける。
「あの、今日はありがとう」
「どういたしまして。少しは楽しめた?」
「うん、とても楽しかった!」
「そっか、良かった」
それからも、たくさんの事を話しながら帰った。
そうしているうちに着いたのは、クリーム色のマンションの前。
「俺んち、ここの805号室なんだ」
「すごい…きれい」


