「やった、さんきゅ!!」
夕樹くんの、弾んでいる声。
チラリと横顔を見ると、その顔は綻んでいた。
「かわいい…」
ぼそりと言ったつもりが、ばっちり本人にも聞かれてしまい、繋いだ手を離されたかと思うと、夕樹くんは立ち止まり、
私の額に軽くデコピンをした。
「!?」
「男に可愛いって言うの、禁止。
つぎ言ったら罰ゲームね」
ニコリと天使の微笑みを浮かべている夕樹くん。
「…はーぁい」
その天使の微笑みが、一瞬悪魔に見えたことは黙っておこう。
「わかったなら、よろしい。
あ…ほら、着いたよ」
どれくらい歩いただろうか。
いつの間にやら、目的地へと着いていたらしい。
「着いたって、どこに…あっ!!」
顔を上げると、目の前には大きな水族館。
確か、最近また新しい生き物が仲間入りしたのだとか。
いつかは見に行こうと思っていたけれど、
まさかこんなに早く来れるとは思っていなかった。
目をまん丸にしている私を見ながら、夕樹くんは眉を下げて頬を掻く。
「水族館。
えーと、暗い所とか魚とか大丈夫?」
「うんっ、全然大丈夫だよ!!
いつかは来たいと思ってたんだぁ~。
だから、すごく嬉しい!!」
「そっか、それなら良かった」
そしてそれから1時間ほど水族館を満喫し、ちゃんとお土産も買って帰る頃にはすっかり日も暮れ始めていた。


