ボロボロと涙がこぼれる。


目の前に差し出された紺色のハンカチ。

顔を上げると秋くんが優しく微笑んでいた



「使いなよ」

「あ、きくん…あり、がと」



ハンカチを受け取り、目尻についている涙を拭き取る。


「これ洗って返すね…」

「いいよ、んなもん。
そのまま汐音にやるよ」



「ん…ありがとう」


「おう」




今度は夕樹くんが前に進み出る。


すると彼はいきなり手を差し出してきた。

それと彼の顔を交互に見てから、手のひらを出すと何かが落ちてくる。



それを見ると、泣いていたのもすっかり忘れて、思わず笑ってしまった。


「これあげるから泣きやんで」


「夕樹くん、私そこまで子供じゃないよ。
けど…ありがとう」