恋っていうから愛に来た

8時10分前。



毎朝、この時間がいちばん好きだ。




階段をドタドタ上がってくる音に、今日もまた嬉しさが込み上げる。





「カナ!!!」




勢いよく開いたドアから冷たい風が吹いた。





「おめーはいっつもいっつも寝坊しやがって!!!」


私に向かって怒鳴り声をあげるのは、
幼なじみのアラタ。

茶髪にくっきり二重、それに加え長身で学校イチのイケメン王子。
そんなアラタがあたしの幼なじみだ。


「アラタ、おはよ」

あたしはのんきに挨拶をする。
そしたら、アラタにチョップされちゃった。

「カナ、おはよじゃねーから!」

そう言って笑うアラタにきゅんとする。



あたし、藤波 可奈 フジナミ カナ。

クールでサバサバ、めんどくさがりに加えおおざっぱ。
男勝りで活発なあたしは、幼なじみの新に絶賛片思い中だ。


「カナ、飛ばすぞ!!!」

新はあたしを自転車のうしろに乗せると勢いよくこぎはじめる。

新のうしろは、あたしの特等席。


新は、学校ではすごくクールで女子とは滅多に話さない。
けど最近、笑った顔がかわいーって年下からも人気で。

あたしは毎日ハラハラしてる。



「……カナー?聞いてる?」

「え?!あ、聞いてる聞いてる!
…なんだったっけ?」

そういうあたしにふはっとかわいい笑顔をおとして、

「聞いてないんじゃんー」

なんていいながら、あたしにスマホをみせてくる。


「これ、行きたいな」


そういって見せたのは、新しくオープンしたカフェの画像。

このカフェの店長は、新のお兄ちゃんなんだ!


「えー!行きたい!行きたい!」

あたしはぶんぶん手を振って行きたいアピールをした。

…これってデートだよね??

「あぶねーよ、カナ」

あたしは新にぎゅっと抱き着いた。







新は、ずるい。







こんなにもあたしをドキドキさせる。



「…ありがと」





新はあたしにニッと笑って、再びスマホに視線をおとした。