幽霊なキミ。

彼はそう言われるとキョトンとして、自分の体をきょろきょろと見た。




そして納得したように頷くと、




「ほんとだ、気づかなかった!やっぱりすごいね君!」




と言った。





言葉も出ない、とはまさにこのこと。



なんなのコイツ!



「馬鹿じゃないの!?あんた、見る限り馬鹿っぽいけど、自分が死んだことにも気づかなかったの?!」




彼は腕を組んでうーん、と考えた。



仕草もなんとも馬鹿っぽい。






「気づいたら道で寝てたんだよ。

それで、全然人もいないし真っ暗だし、賑やかな方に来てみたら可愛い子がお経で落ち武者と戦ってた、って訳。」
 



彼はそう言って肩をすくめてみせた。




良く見るとコイツ、幽霊のくせに足があるわね。




自分が死んだことにも気づかない人は多いけど、この焦らなさはなんなのよ。

顔がいいだけになんだか腹が立つわ。