幽霊なキミ。

こんなのに付き合ってないで早く寝たい。




「得阿耨多羅三藐三菩提故知般若波羅蜜
多是大神咒是大明咒是無上咒是無等等…」




起き上がれるようになった私は、上半身を起こし、落ち武者を睨みながら唱え続けた。




(早く成仏しなさいよ……!)





そう思いながら、強い口調で唱えていると、落ち武者はとうとう諦めたように消えていった。



「… 菩提薩婆訶 般若心経
 。」

 

私は一応最後まで般若心経を読んだ。





(はぁ良かった。これでやっと寝られるわ。)




「若いのに落ち武者相手にお経読むなんてすごいなぁ!」




顔のすぐそばで、声がした。




「え?」
 


振り返ると、目の前に男の子がいた。





整った顔の、坊ちゃん刈りの美男子だった。