奈々ちゃんが運ばれたという病院は、市内のところで30分程で到着した。

お母さんが受け付けで確認をとっている間に私はお父さんと、少し話した。

「茜、どうして暴力なんてふってしまったんだ」

「……だってあっちがムカつくこと言ってきたから…」

「だから、殴ったのか?」

「…………」

「あのな、どんな理由があったとしても、暴力は悪だ。
父さんや母さんはお前の味方だが、世間的には暴力をふったお前が悪者になるんだぞ」

「…ごめん、なさい」

「それは長谷川さんに言いなさい」

「はい……」

「わかればよろしい」

そう言ってお父さんは、大きな手で私の頭をくしゃくしゃと撫でた。

少し、安心した。